2008年3月29日 星期六

中国緑茶

そして中国緑茶に行きつくはずが……

2008年03月29日

中国茶評論家・工藤佳治

――日本緑茶に近づいたので、かえって遠のいた

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 「種類が多すぎて…」。中国茶の種類が多いことは何度も書いてきたので、今さら驚かれることはないだろう。大別する種類も、緑茶に始まり、白茶、 黄茶、青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶などに区分けされる。その他に、ジャスミン(茉莉花)茶に代表される花茶といった区分や、我々が親しんでいる茶葉がバラ バラの状態のものではなく、固められたお茶(緊圧茶)の区分もある。

 一つ一つのお茶の銘柄でいったら、現在は1500から2000くらいあるのではないか。これは茶工場が増えて、同じ地域のお茶でも違った名前で登 場しているからである。経済開放政策が進み、会社を作る自由度が拡大した影響といえよう。「野菜を作っているより、お茶の方が儲かりそうだから」、といっ た感じで増えているように受け取れる。

 増え続ける中国茶の銘柄を、種類の区分に当てはめてみると、ほとんどが「緑茶」である。もともと中国茶は緑茶がほとんどある。銘柄でいったら、90%以上は緑茶であろう。緑茶を飲んでいる人口も、たぶん同じくらいの比率だろう。

 いずれにしても中国では圧倒的勢力である中国茶緑茶は、なぜか日本では浸透しない。数年前、日本の飲料メーカー3社が同時に「中国緑茶」のペットボトル入り飲料を発売したが、すでに店頭からは消えている。

 言い続けていることだが、お茶は古くからずっと「消費者志向」の商品だったし、今もそうである。

 気づかれないかもしれないが、近来、日本茶も変化している。「深蒸し」(製茶の工程で、酸化を止めるために熱を加える工程を長時間にすること) 「ヤブキタ」(茶木の種類)という言葉が、「売れるためのキーワード」といわれるくらい、日本人が「緑鮮やかな」色のお茶、「旨味(甘み)が強い」お茶を 好む傾向にある。それを先取りし、実現しやすい品種「ヤブキタ」を使い、「深蒸し」にする変化が行われた。消費者は、「深蒸し」「ヤブキタ」の文字を見る と、なにげなくそのお茶に手を伸ばしている。

 中国で圧倒的な勢力の緑茶でも、日本で人気の中国茶は、青茶(烏龍茶)である。

 中国茶を好きになっていく人たちの傾向を長年見ていると、一つの代表的なパターンがある。まず、ジャスミン茶が入口となり、その後青茶(烏龍茶)を好きになっていく。そして少し飲み続けていくと、「中国緑茶もなかなかおいしい」ということになる。

 かなりの頻度で飲み続ける人なら、中国緑茶に至るまでの時間は約1年。

 ところが、その傾向に変化が起きている。中国茶を飲み続けて、「中国緑茶もなかなかおいしい」という人が減ってきている。中国緑茶もたくさん飲んだ、けれど「やはり青茶(烏龍茶)がいい」という人が増えている。

 理由はわからない。

 考えられるのは、中国緑茶の変化、日本人の嗜好の変化であるが、まだ断言するには早すぎる。確かに中国緑茶は、中国人の生活水準の向上、食生活の 変化などで、日本人にも飲みやすい、親しみやすい方向に変化してきている。かえってそれが特徴をなくしているのかもしれない。日本緑茶に近い中国緑茶。 「中国緑茶(日本緑茶に近づいた)と日本緑茶、どちらを選ぶ」、といわれたら、それは勝負にはならない。今の日本緑茶は、努力の末、現在の日本人の嗜好に 合わせてつくられているからだ。

 だとすると、中国緑茶は日本緑茶に近づく変化を起こしたため、なおさら日本人の選択からは遠のいたということになる。

 次回は、「台湾レストラン資本の逆上陸」(予定)です。

中国茶メモ

黄山毛峰(こうざんもうほう・安徽省)

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 このお茶の産地は、黄山市一帯。黄山は、日本人にもお馴染みの景勝地である。山からの日の出、山水画にも描かれてきた山並み、詩にもふるくから登場する。

このお茶も、西湖龍井(浙江省)、洞庭碧螺春(江蘇省)と並ぶ、現代の中国緑茶を代表するお茶だ。

 爽やかな飲み口、少し深みもある上品さが持ち味のお茶である。香りも長く続き、甘さも残っていく。

茶葉によっては、小さな芽だけで作られる「雀舌」と呼ばれるお茶も売られている。

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