【1月10日 AFP】中国の起業家、安琰石(
An Yanshi)氏(41)は、ついに世界で最も高価な茶を作る決め手となる原料を突き止めた――パンダのふんだ。
元は書道の教師だった安氏はいま、パンダ飼育センターからパンダのふん11トンを購入し、それを肥料にジャイアントパンダの故郷、中国南西部四川(
Sichuan)省の山間部で茶葉を育てている。
パンダのふんを用いた茶葉は、今春が初めての収穫。価格は500グラムで22万元(約270万円)で、「世界一高価な茶」だ。中国では初摘みの茶葉が最 高級とされる。それより劣る2番摘みの茶葉でも、「パンダのふん茶葉」の販売価格は2万元(約24万円)前後となる見込みだ。
この新たな茶葉プロジェクトにかける安氏の情熱は非常に熱く、AFPとのインタビューにパンダの着ぐるみで登場したほど。会社のロゴも、蝶ネクタイ姿のパンダが茶の湯飲みを手に微笑んでいる絵柄だ。
一部の中国人は、パンダのふんで作った茶葉の効能に関する安氏の主張は大げさだと笑いの種にしている。だが安氏は、あくまでも真剣そのもの。パンダ・ティー(
Panda Tea)社の経営に「身も心も」捧げるため、四川大学(
Sichuan University)での職をも投げ捨てたのだ。
■最大の使命は「環境を守ること」
現在、安氏がパンダ茶を栽培する茶畑の規模は1ヘクタール。ビジネスとして収益を上げたいのはもちろんだが、安氏が考えている最大の使命は、環境保護を世界に訴え、手遅れになる前に化学肥料を動物の堆肥に置き換えることだという。
「養分に富むパンダのふんは、化学肥料よりもずっと良いはず。人間は、天や地と環境と調和した関係を築くべきなんだ」と、牛糞肥料で栽培した茶をすすりながら安氏はAFP記者に語った。
「環境を守る責任は全ての人にある」と付け加え、安氏はAFP記者に楽しげなパンダや竹、書などが描かれた自筆の掛け軸を、多数披露してくれた。
■笑いものにされようと、揺るがぬ確信
お茶を愛する安氏が茶ビジネスの着想を得たのは、昨年出席したセミナー。パンダは食べた笹のうち吸収されるのは30%だけで、残りの70%は排泄されていると知ったときだった。
新鮮なパンダのふんが入った瓶を見せながら、安氏はAFP記者に、その高い「品質」と鮮やかな「緑色」を講釈した。パンダ茶がヒットすると確信した安氏は、競合相手にアイデアを盗まれないよう特許を取得したという。
緑茶には減量効果と放射線からの防護効果があると、安氏は主張する。だが一部のウェブユーザーは、高価格や健康効果のうたい文句に疑問が投げかけら、ネット上で安氏を笑いものにしている。
「パンダのふんが、茶の栽培にそんなに良いと言うなら、ふんのまま食べればいいじゃないか。私はこの先生にそう聞きたいね。そうすれば、70%の栄養分は自分のものさ」と、あるウェブユーザーはネット上で言う。
また別のウェブユーザーも「パンダのうんこで作ったパンダ茶一斤(500グラム)が20万元。これは茶を飲むためか、それともパンダの血を飲むためか?」と、価格への疑問を投げかける。
このようなネットでの中傷にもかかわらず、これから発売される茶に対する安氏の確信に揺るぎはない。すでに事業の拡大の検討も始めたという。
安氏は、「初摘みの収穫を終えて、品質が上々ならば、事業規模を拡大するつもりだ」と、パンダの着ぐるみに包まれた腕を振り回しながら熱く語った。(c)AFP/Allison Jackson
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