茶の原種はラオスにあり? 樹齢300年の大樹発見
2010年2月9日 夕刊
ラオス北部の山中で見つかった原生種に近いとみられる茶の大樹=調査団提供 |
中国と国境を接するラオス北端の標高約1、600メートルの山中で、茶の原生種に近いとみられる野生の茶の大樹が見つかった。元愛知大教授の松下 智さん(79)=愛知県豊橋市=を団長とするラオス調査団が1月にポンサリー県の現地を踏査し、突き止めた。なぞだった茶の起源解明の手がかりとなる発見 として、注目を集めそうだ。
一帯には同様の茶の大樹が点々と分布しているとされ、松下さんは「ラオスと中国、ベトナム国境の山岳地帯に広がる冷涼な常緑季節林帯が、緑茶や紅茶などアジア各地に広まった茶の原産地の一画である可能性が高まった」と話している。
ただ、専門家の間からは「大・中・小葉種と分化していく茶の進化の様子を確認するなど、もっと綿密な調査が必要」として、慎重な見方も出ている。
調査によると、見つかった茶の木は大葉種と中葉種の中間で、学名カメリア・シネンシスの変種とみられる。高さ約12メートル、根元の幹回り94センチ、樹齢約300年と推定される。茶葉の長さは15センチ弱だった。
少数民族ラオテン族が住む同県バンコエサイ村から300メートル登った標高約1、600メートルの急斜面に広がる原生林の中で1月21日に確認した。焼き畑農業などで開発された様子がなく、栽培種の可能性はまずないという。現地では野生の茶葉を摘んで飲んでいた。
茶の原産地については、中国雲南省やインド・アッサム地方などが通説とされるが実証されておらず、有力な手がかりが学術調査で見つかったのは初めて。同県は19世紀末まで中国領の雲南の一部だった。
松下さんは国内外の茶産地の歴史、文化を研究している第一人者。山向こうの中国側は焼き畑農業による開発が進み、原産地の実証が難しいため、未開発状態のラオス側に注目し、2004年から同国教育省の協力を得て調査している。
◆原生種解明に期待
<茶の起源を研究している山口聡玉川大教授の話> 植物学的にも注目されるラオス北部で、野生に近い状態の茶の木が見つかったことはとても興味深 い。茶の生産は山に自生している茶の種を採ってきて、栽培が始まった歴史がある。それ以前の原始に近い状態が今なお残っているとすれば、原生種解明に大き な手がかりとなる。
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